塗料の劣化は光触媒作用
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鮮やかな色彩で彩られた看板が、何年も経つと白っぽくなったり、文字や絵柄がかすれて消えてしまう現象をご存知でしょうか? 退色した看板をよく見ると、白色や白を多く含むパステル色の方が、他の部分に比べ、より劣化が進んでいることがわかります。指で触れると白い粉が付き、チョーキング現象と呼ばれています。
絵の具や塗料に使われる白色顔料の多くは、二酸化チタンを主成分とするチタン白です。太陽が放つ紫外線の分解力が酸化チタンによって高められた結果、風雨による劣化より早く塗料の樹脂成分を分解してしまい、顔料が剥離して雨で流されてしまったのです。
これまでは劣化防止の研究が続けられてきましたが、この分解力を活用するという逆転の発想で、菌やウィルスをはじめほぼ全ての有機物を分解し、炭酸ガスなどの無毒な物質に変えることができる光触媒が、日本でうまれました。
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光触媒の主な機能
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酸化チタンに光を照射すると、OHラジカルなどの活性酸素ができます。このOHラジカルは塩素や次亜塩素酸、過酸化水素、オゾンなどよりはるかに強力な酸化力を持っており、その酸化力によって分解されにくい化学物質を安全に分解することができます。
光触媒には大きく分けると次の機能があります
空気の浄化
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NOxやSOx、ホルムアルデヒドなどの有害物質を分解、除去
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水の浄化
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溶解した揮発性有機塩素化合物などを分解、除去
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抗菌・抗ウィルス
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大腸菌やインフルエンザウィルスなどへの抗菌作用
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防汚
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窓ガラスや外壁などの汚れ防止
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脱臭・消臭
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アセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素などの悪臭の分解
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アパタイト被覆 酸化チタン
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酸化チタン粒子をそのまま塗料に混ぜたり基材に塗布すると、接触した部分を分解するので、アパタイトやセラミックスを栗のイガのように付けて、直接触れないようにする技術が開発されました。
アパタイトは光触媒作用の影響を受けないばかりか、菌やカビを吸着することができるので、アパタイト+酸化チタンは、吸着して分解するという二つの機能を持つようになりました。
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低コスト可視光応答型光触媒
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シックハウス対策など、室内での利用に期待されたものの、室内では紫外線量が少なく、また、車内もガラスによって一部の紫外線はカットされているので、光触媒作用を十分に発揮することはできませんでした。
そこへ、平成21年3月30日 独立行政法人
産業技術総合研究所の垰田
博史氏によって、「従来の可視光応答型光触媒と異なる、貴金属や希少金属などを使用せず、安価で安全な酸化チタン、アパタイト、鉄を効果的に組み合わせた、汎用性の高い高性能かつ実用的な可視光応答型光触媒を開発した」というプレス発表がおこなわれました。
この新型可視光応答型光触媒は、高価な原料を使用したレアメタルタイプに比べ、性能は若干劣るものの、価格ははるかに安価で優れた経済性と実用性をもっています。
産業技術総合研究所 2009年3月30日 プレス発表
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可視光応答型光触媒
F4T-201AF 販売開始
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弊社グループでは、この新型光触媒の実証試験に参加し、これまでに1000台以上のタクシーの車内、ファストフード店喫煙室やトイレ洗面所などで数多くの施工を行い、多くの皆様にその性能を実感していただきました。
「F4T-201AF」は、実績のある可視光応答型光触媒として、
フォーティー科研より販売中!
蛍光灯の明かりでも吸着と分解効果を発揮する
高機能アパタイト被覆可視光応答型光触媒(固形分20%スラリー)
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光触媒は万能の技術!?
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国際光触媒展 講演
垰田博史氏
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光触媒を用いると、大気浄化、水質浄化、土壌浄化、脱臭、抗菌・抗かび、防汚、曇り止め、院内感染防止、排ガス処理など、幅広い応用が可能です。
しかし、ある一つの用途に効果があったからといって他の用途に効果があるとは限りません。例えば、防汚の場合には表面がつるつるで汚れが付きにくい方がよいわけですが、脱臭などでは表面がでこぼこで悪臭物質をよく吸着する方がよいというふうに、用途によってそれに適した形状などが異なりますし、防汚性能のよいものが脱臭性能もよいとは限らないわけです。また、脱臭においても、アルカリ性ガスのアンモニアに対する脱臭性能が優れていても、酸性ガスの酢酸に対する脱臭性能が優れているとは限りません。
トコトンやさしい光触媒の本から抜粋
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名ばかりの光触媒を駆逐
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光触媒は近年、マスコミなどで頻繁に取り上げられるようになり、光を当てるだけで働き、ほぼすべての有害化学物質を分解・無害化することができるため、環境浄化技術の切り札として注目を集め、環境の世紀である21世紀の技術として期待されています。
しかし、その反面、光触媒はほとんど効果が見られないと不信感を持っている人もいます。光触媒の効果を十分に発揮させるためには、用途に応じた工夫が必要であり、システムをつくる場合には対象物質が光触媒の表面に接触しやすくなるように適切にデザインする必要があります。
光触媒研究の世界的な権威である、前(独)産業総合研究所の垰田博史氏(現:弊社最高技術責任者)は、「トコトンやさしい光触媒の本」のなかで、光触媒の正しい使い方と開発のポイント、光触媒製品開発の実例、光触媒の性能評価試験法などをわかりやすく説明しています。
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